AY's blog

思ったことをだらだら書いている。読んだら感想とか教えてくれたら嬉しい。

高1、冬、美しい姿勢

二回目の緊急事態宣言で家に篭りなんとなく過ぎていく日常に発狂してしまいそうになったので、週に一度文章を書くことにした。

といっても、わたしは過去しか見ることのできないつまらない人間なので、過去の思い出とか、そういうものを短めに書いていくことにする。

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高校1年生の冬には恋人がいて、冬至直前のわたしの誕生日に一緒に映画を観に行った。お台場に着くなり、誕生日プレゼントといってフレッドペリーのマフラーを貰った。グレーと紺色のチェック柄で、そのときはそんなに気に入らなかったけどいま思い返したらかわいいかも。どこやったっけ。

お昼ご飯を食べて映画までの時間、欲しいもの1つ買うから選んで、誕生日プレゼント。って言われて、いろんなショップを見て回った。ほんとは最初に入ったお店の白いニットが良いなって47秒くらいで決まってたけど、そんな女って可愛くないかも。と思って吟味するフリをした。映画まで時間もあったし。

(白いニット…)と思いながら買い物をしても白いニット以外に見つかるはずもなく、結局それが入った紙袋を抱えて映画館へ向かった。

インターステラーを観た。圧巻であったと同時に、長かった。当時のわたしはすごく痩せていて、お肉も筋肉も全く付いていないから、長時間椅子に座っていると骨張ったお尻が悲鳴をあげる。何回も体勢を変えながらやっと観終わったときには、映画の重厚さも相まってかなり疲弊していた。

こじんまりとしたお店で美味しいステーキを食べ、駅までの道を少し散歩した。

散歩中、彼が

「道行く人を見てると、首が前に出て、背中が少し曲がって、姿勢悪く歩いてる人って結構いるよね。背が高いとそうなっちゃうよね」

と唐突に言った。わたしは特に気に止めず、

「そうだね〜。姿勢悪いのってカッコ悪いよね」

と相槌を打った。すると彼は、

「君のことだよ」

と言った。

 

わたしは背が高くて当時はすごくコンプレックスだったから、上半身をすぼめて歩く癖があった。でも、彼は当時、つまり16歳の時点で身長が180cmを超えていて、かなり背が高いと言える方だったから、彼といると本当の身長でいていいような、詐称せず背筋を伸ばして悪くないような、そんな気がしていた。

なのに長年の癖はやっぱり抜けなくて、恋人にそれを、誕生日に、楽しいその瞬間に、指摘されたことが途方もなく恥ずかしくて、何もことばを返さずに解散した。ていうか、今日一日そう思ってたんだ。ていうか、ずっとそう思ってたんだ。

 

その後、彼とは別れたし、背は伸び続けたから、姿勢はまったく改善されていない。

それでもお台場を歩くたびふと、彼の優しさに、優しさゆえの不器用すぎるタイミングに、優しさゆえの婉曲表現に、顔がカッと紅潮する恥ずかしさを覚えたことを思い出す。

背筋が伸びるようなそんな気持ちになるけど、あくまでも、気持ちだけだ。